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CIRCL編集部

網膜剥離などに光明?再生医療の研究 イモリの網膜に再生能力があるのはなぜか

 2016年のノーベル賞も、日本人の大隅良典教授が医学・生理学賞を受賞した。iPS細胞を含め、日本の医学領域の研究は世界でもトップクラスだ。そんな中、iPS細胞にも負けないような再生医療の研究が筑波大学で進んでいる。将来のノーベル賞につながる可能性のある研究だ。

網膜は目の中の「スクリーン」

 今回ご紹介する研究は網膜の再生に関するもの。まずは、網膜とは何かを見てみよう。

 網膜は、角膜・水晶体・硝子体を通過した光が作り出す映像を映し出すスクリーンのような役割をしている。網膜に映し出された映像情報は、いったん電気信号に代わり脳に伝わり、脳が再び映像を作り出すことで「ものが見える」のである。このスクリーンに障害があると、脳にうまく情報が伝わらず、ものがぼやけたり揺れて見えたりしてしまう。そしてスクリーンとしての働きを果たせなくなってしまうと、目が見えなくなってしまう。

ヒトの網膜には再生能力がない

 ヒトを含むほとんどの動物の網膜には傷ついた皮膚がきれいに治るような再生機能がないため、一度傷つくと回復しない。例えばボクサーが起こす網膜剥離や高齢の人に非常に増えている加齢黄斑変性などでは、変性したりダメージを受けたりした網膜は元に戻らず、ダメージが進行すると失明につながる。

イモリに見られる網膜の再生機能

 しかし、イモリの網膜にはなぜか再生能力がある。網膜を再生する際に働くのが網膜色素上皮(RPE)細胞といわれる細胞。イモリのRPE細胞は網膜が傷つくとRPE幹細胞という細胞に変化し、それが網膜や網膜色素上皮細胞を再生し、視力を回復する。

 一方、ヒトのRPE細胞は、網膜が傷つくとイモリと同じように細胞の性質が変化するが、網膜の再生の方向に向くのではなく、筋線維芽細胞という細胞に分化し、増殖性硝子体網膜症という病気へと進行してしまい、失明へとつながる。

網膜の再生に大切なPax6

 ヒトとイモリの違いは何なのか、それがわかれば網膜の再生につながる。それが筑波大学の研究だ。研究を進める中で、筑波大学の研究者はPax6といわれる遺伝子が重要であることを発見した。Pax6は、ヒトの発生段階で脳や顔の分化を誘導する遺伝子であるが、この遺伝子を欠損させたイモリでは、網膜が傷ついた際に網膜の再生が起きず、ヒトと同じく増殖性硝子体網膜症へ進行した。つまり、Pax6が網膜の再生には必要になるのである。

Pax6が作用する環境を作り出す

 しかし、ヒトにもPax6は存在するのである。つまり、Pax6の存在よりもそれが働くようになる環境が大切であるというのが、現在までの結論である。今後どのような環境でPax6が作用するのかがわかれば、網膜を再生させ視力を回復させることができると研究者は考えている(※1)。

 近年、抗生物質や抗がん剤など悪いものを攻撃するような治療ではなく、体に有用なものを助けたり再生させたりする免疫療法や再生療法の分野の発展が目覚ましい。薬の開発も大切だが、そのメカニズムを解明する基礎研究も大切である。日本人のノーベル賞受賞者に影響を受けて、さらにトップクラスの研究者が続いて出て来るのを期待したい。

参考・引用

  • ※1:イモリの網膜は再生するのにヒトの網膜はなぜ再生しないのか
    ~網膜再生を可能にする重要な手がかりを発見~ https://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/160919chiba-1.pdf

WRITER

harappa

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